Sushi Maru インドネシアの寿司体験を押し上げる

ROLE
Brand design
Communication design
Culture design
Art direction
Visual identity development
Overview
インドネシア・ジャカルタで複数店舗を展開する寿司レストラン Sushi Maru。2025年11月に予定していた3号店のオープンを機に、「ブランドの本質が、正しく伝わるデザインへ」というご相談を受け、YL がブランド戦略の立案からロゴ制作、ユニフォーム・テーブルマット・箸袋などの各種コラテラル、ブランドブック制作まで、ブランドタッチポイント全体のリブランディングを担当しました。
Challenge
ジャカルタは寿司レストランの激戦区です。家族や友人と気軽に楽しむ寿司文化はすでに定着し、多くの競合がひしめく成熟市場となっています。その中でSushi Maruが向き合うべき問いは、「新たな強みをつくること」ではありませんでした。すでに存在する価値を、明確なビジョンとして再定義し、適切なビジュアルコミュニケーションへと落とし込むこと。それこそが、このプロジェクトの出発点でした。
Insight
プロジェクトを通じて浮かび上がった最大の発見は、「寿司」という言葉が、日本とインドネシアでまったく異なるイメージを持つという事実でした。
インドネシアにおける寿司は、明太子クリームソースをかけたサーモンロールに代表されるフュージョン系が主流で、カジュアルで親しみやすい料理として定着しています。一方、刺身は"プレミアム"な体験として別カテゴリーに置かれています。熱帯気候による鮮魚管理の難しさが背景にあり、「素材そのままの美味しさ」が希少性を持つ市場構造があるためです。
日本の寿司文化は対照的に、回転寿司から立ち食い、居酒屋の一品、職人が握る鮨まで、価格帯も体験の質も幅広いグラデーションを持ちます。
リサーチとクライアントへのアンケート分析を重ねた結果、Sushi Maru が本来目指す領域は、インドネシアで想起される"カジュアル寿司"でも、敷居の高い「高級鮨」でもなく、日本でいう「ちょっといい寿司」。素材の品質にこだわりながら、日常の延長で楽しめるカテゴリーであることが明確になりました。
実際、Sushi Maru は週2回、豊洲市場から鮮魚を直送し、同グループのパートナー企業 Naili Ocean が徹底した品質管理を担い、日本で研鑽を積んだシェフが仕込みから握りまで一貫して担当しています。「本当においしい鮮魚を、そのままの価値で届ける技術と姿勢」は、インドネシア市場では稀有であるだけでなく、容易に模倣できない構造的な強みでもありました。ブランド設計は、この事実を起点としました。
About the Logo
ロゴの核に据えたのは、店名「Maru(丸)」が持つ日本文化の背景です。日本では古くから、船の名に「丸」を添え、安全・繁栄・航海の無事を願う慣習があります。
Sushi Maru の哲学もまた、この "ていねいに運び、守り、届ける" 精神と重なります。豊洲から空輸された鮮魚が、職人の手を経てお客様の前に届くまでの一連のプロセスに、一切の妥協がない。その誠実さをいかに視覚言語へ翻訳するかが、デザインの出発点でした。
シンボルは、船のシェイプ、「日いづる国」という日本の思想、そして甲板の上から望む "水平線から昇る太陽" の情景を重ね合わせ、ジオメトリックな造形として昇華させています。また、人気メニューである肉厚の Takara Roll との視覚的な連想が自然に生まれるよう、フォルムには厚みと存在感を持たせました。
船の正面性が伝わるよう繊細なグラデーションを加えながら、ユニフォームなど再現性が求められる媒体向けには単色版も開発。空間・印刷・デジタルを問わず、一貫した運用が可能なロゴシステムとして設計しています。
Result
11月下旬、3号店のオープンとともにリブランディングが話題を呼びました。新しいロゴと一貫したブランドストーリーは広く共感を集め、Sushi Maru は、カジュアルと高級のあいだに存在していた空白地帯に、明確なポジションを獲得しつつあります。
今回のプロジェクトを通じて整理されたのは、強みそのものではなく、「その強みをどう語るか」という問いでした。鮮魚管理の徹底、職人の技、誠実なホスピタリティ。それらが一貫したブランドストーリーのもとに束ねられたことで、Sushi Maru はインドネシアの寿司文化に新たな基準と価値を提示する存在へと進化しました。
Overview
インドネシアにおける寿司の捉え方を再定義。 新しさをつくるのではなく、すでにある強みを明確にする。 戦略から実装まで、一貫したブランド体験へと再設計しました。
Creative Strategy + Branding
寿司という言葉は、文化によって意味が異なる。 日本とインドネシアの文化の差に着目し、新たなカテゴリーを定義。 カジュアルと高級のあいだに位置するブランドを構築しました。
TEAM
Branding Strategist, Project Manager: Juri Ito
Art Director, Graphic Designer: Haruka Kojima
Creative Director: Yoichiro Tamada
Senior Designer: Kei Saito
TIMELINE
2025